令和7年(2025年)4月21日付で、厚生労働省は「介護分野における特定技能外国人に関して訪問系サービスへの従事について」の告示・通知を改正し、特定技能(介護分野)の外国人介護人材による訪問介護等の業務従事を正式に認めました。これにより、介護現場の深刻な人手不足の一翼を担う新たな担い手として、訪問系サービス分野への外国人介護人材の参入が可能になります。
背景
介護業界では、高齢化の進展に伴い特に訪問介護分野での人手不足が深刻化してきました。こうした状況を受け、厚生労働省は2024年6月19日の有識者検討会において、訪問系サービスへの特定技能外国人導入の方針を決定しました。さらに、同年3月11日に政府はこの方針を閣議決定し、制度改正の具体化に向けたプロセスを進めてきました。
対象となる訪問系サービス
令和7年4月から特定技能外国人が従事可能となる介護保険の訪問系サービスは、以下の通りです。
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 訪問入浴介護 • 夜間対応型訪問介護
- 介護予防訪問入浴介護
- 定期巡回・随時対応型サービス
- 総合事業における訪問型サービス
従事にあたっての主要要件
1. 資格要件
• 介護職員初任者研修課程等を修了していること
• 介護事業所等での実務経験が原則1年以上あること
2. 事業所の遵守事項
受け入れ事業所は、訪問系サービスに従事させるにあたり、下記1~5を必ず実施・記録する必要があります。
1. 業務の基本事項等に関する研修を行う
2. 一定期間、責任者等が同行してOJTを行う
3. キャリアアップ計画を作成し、本人の意向を確認しながら運用する
4. ハラスメント防止のための相談窓口の設置等の措置を講じる
5. 緊急時対応を含むICT環境など、必要な業務支援体制を整備する。
今後の展望と課題
• 期待される効果 訪問介護を担える特定技能外国人の参入により、従来の施設介護だけでなく在宅介護ニーズへの対応力が向上し、人手不足の緩和が期待されます。実際に、解禁後には外国人介護人材の活躍が進む見込みです。
• 残る課題 日本語や介護文化の理解、利用者とのコミュニケーション円滑化といった面での研修・支援体制の一層の充実が求められます。また、受け入れ事業所のフォローアップや定期的な評価指標の整備も今後の重要なテーマです。