日本の労働力不足を補うために導入された「特定技能」制度。この制度のもとで働く外国人の中には、将来的に日本での永住を希望する方も多いでしょう。しかし、特定技能の在留資格で永住権を取得することは可能なのでしょうか?本記事では、特定技能から永住権を取得するための条件や注意点について詳しく解説します。
特定技能とは?
特定技能は、2019年に創設された在留資格で、以下の2種類があります:
特定技能1号
• 対象分野:介護、外食、建設など16分野
• 在留期間:最長5年(1年ごとに更新)
• 家族の帯同:原則不可
特定技能2号
• 対象分野:15分野(介護職以外)
• 在留期間:更新制限なし(無期限に近い)
• 家族の帯同:可能
特定技能で永住権は取得できるのか?
特定技能1号の場合 特定技能1号の在留資格だけでは、原則として永住権の取得は難しいとされています。理由としては、在留期間が最長5年であり、永住許可の条件である「原則10年以上の日本在留」や「5年以上の就労資格での在留」を満たしにくいためです。 特定技能2号の場合 特定技能2号の在留資格を取得すれば、永住権取得の可能性は大きく広がります。在留期間に上限がなく、家族の帯同も可能であるため、生活基盤が安定しやすくなります。また、他の就労資格と同等に扱われやすく、永住許可の条件を満たしやすくなります。
永住権の主な取得条件
出入国在留管理庁のガイドラインによると、永住許可の主な要件は以下の通りです:
• 在留期間:原則として、引き続き10年以上日本に在留していること。そのうち5年以上は就労資格(特定技能1号を除く)または居住資格での在留が必要。
• 素行が善良:罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。
• 生計要件:安定した収入があり、将来的にも安定した生活が可能と判断されること。
• 在留資格の安定性:現在の在留資格で最長の在留期間を保持していること。
• 公衆衛生上の問題がないこと:感染症や薬物中毒者でないなど
永住権取得までのステップ(特定技能2号を前提)
1. 特定技能1号から2号への移行 → 技能試験と日本語試験(業種によって異なる)に合格する必要があります。
2. 日本での生活実績を積む(5年以上) → 就労・納税・年金加入・社会貢献などを着実に行うことが求められます。
3. 永住権を申請 → 出入国在留管理庁へ申請書類を提出。審査期間は半年〜1年程度です。
注意点とアドバイス
• 在留期間のカウント:特定技能1号や技能実習の期間は、永住権申請のための在留期間にはカウントされません。特定技能2号や他の就労資格での在留期間が必要です。
• 素行の善良性:交通違反や税金・年金の未納などがあると、永住許可が下りない可能性があります。日頃から法令を遵守し、社会的義務を果たすことが重要です。
• 在留資格の変更:特定技能2号への移行は、現在一部の分野(建設、造船・舶用工業)に限られています。今後、対象分野が拡大される可能性がありますので、最新情報を確認してください。
まとめ
特定技能1号のままでは、原則として永住権の取得は難しいとされています。しかし、特定技能2号への移行や他の就労資格への変更を行い、必要な在留期間やその他の要件を満たすことで、永住権の取得は可能となります。将来的に日本での永住を希望する方は、計画的にキャリアを積み重ね、必要な条件を整えていくことが重要です。